Master of Theology(Th.M.)の課程

■Th.M.の目的

Th.M.は、Master of Divinity(M.Div.)課程で受けた教育を神学的にさらに深め、特定の領域における学問的研鑽の方法と資質を身につけることを目的としています。本課程によって、神学教育機関の教師が養成され、また神学的洞察と方法とを兼ね備えた研究者の育成を目指しています。

■Th.M.の特色

本校におけるMaster of Theology(Th.M.)は、他の神学教育機関の大学院レベルでの学び同様、主として神学分野における学問的研究および表現能力を培うことを目的としています。その目的に沿う形で独自の研究成果も期待されます。ただしさらに高度の学びであるDoctor of Theology(Th.D.)が、学問的研究能力の十分であることを前提として、研究成果の独自性および神学的諸認識において新しい貢献を求められるのに対し、Th.M.においては主として研究および表現能力の習得に重点が置かれています。これらの能力の取得により、神学教育機関において大学院レベルの授業資格が認証されることに加えて、さらに高度の学びであるTh.D.課程への学びへの道が開かれます。前述のD.Min.が専門職的認証(professional)と特徴づけられますが、Th.M.は以上の意味で学問的認証(academic)と位置づけられます。

■入学条件

志願者は、以下の条件を満たしていることが求められています。

  • ATAまたは他の学位認定機関によって認定された神学教育機関からのM.Div.あるいはM.Div.同等の学位を有し、その成績は平均B以上であること。
  • 神学研究に必要となる十分な語学能力。
  • 志願者は、日本校が行なう英語の語学試験に合格する必要があります。
  • 聖書言語(ヘブル語、ギリシヤ語)の知識を有する必要があります。Th.M.課程への入学を許可された時点から6ヶ月以内に聖書言語の試験に合格することが求められています。
  • 母国語が日本語でない場合は、日本語能力が備えられていることが確かめられる必要があります。

■入学試験

各研修センターの試験委員会は、書類審査、試験、面接を実施します。また、試験委員会の報告を受けて、合否の決定はAGST/J教授会でなされ、運営理事会に報告されます。願書を提出した志願者の試験は、以下のように実施されます。

  • 願書一式の書類審査の後に、試験日および審査論文の締め切り日などが各研修センターの試験委員会において決められます。
  • 志願者は、専攻学科あるいは副専攻学科の領域における所定の主題(志願者と指導教師との事前の話し合いによって決定)について、8000字程度の論文(脚注や文献表を付したもの)を定められた日までに提出いたします。
  • 志願者は、試験日に専攻あるいは副専攻の領域における神学のテスト、英語力のテスト、および面接を受けます(申し出によって同日、聖書言語のテストを受けることも可能です)。筆記試験および論文の執筆に際して、日本語か英語のいずれかの言語を自ら選択することが出来ます。

■提出書類

受験手続志願者は、以下の書類を提出して下さい。

  • 入学願書(本書末ページに掲載。A4用紙にコピーしてご利用ください)
  • 大学および神学校からの卒業証明書および成績証明書各1通
  • 写真3枚(3cm×4cm)
  • 推薦状2通(1通は以前に学んだ神学校の教師からのもの。1通は所属教団の上司<監督、教団議長など>からのもの)
  • 出願料5千円、受験料2万円
    振込み先:郵便振替 01100-3-65161「アジア神学大学院日本校」
  • 健康診断書

■学習課程

学習課程は、神学全般の学びを経て、個別の課題へと展開しつつ、自らの研究課題に向けて絞っていきます。本校のTh.M.には旧約学、新約学、組織神学、歴史神学、キリスト教教育学、宣教学、牧会学などの領域が含まれています。学習課程の概要は以下の通りです。

  • 神学全般に関する学び
    自らの専攻領域との関連で旧約学、新約学、組織神学、歴史神学、宣教学他のコースワークに取り組み、神学的視野を広げ深めます。
  • 自らの専攻領域に直接関連する学び
    コースワークは全般的学びから、専攻領域の学びへと進み、個人指導(インディペンデント・スタディー)などを通じて、専攻領域の学びを深めます。
  • 論文執筆
    執筆に際し、担当教授からの個人指導によって、専門的学びを論文としてまとめあげていきます。

■卒業の条件

Th.M.の卒業に必要な条件は以下のとおりです。

●学習時間

  • 2学期制の場合は30単位(3学期制の場合は45単位)の取得が求められています。その内6単位(3学期制では9単位)は論文執筆となっています。
  • 24単位(3学期制の場合は36単位)の学習は、各研修センターの担当教授と相談しつつ、講義、ゼミ、個別指導によって取得します。
  • M.Div.レベルの科目に一定の課題を付加することによって最大8単位(3学期制の場合12単位)まで卒業単位に加算できます。

●転入学/単位のトランスファーについて

他の神学高等教育機関で履修した単位のトランスファーの申請は、主任教授および教務主任の承認のもと、6単位(3学期制では9単位)まで可能です。

●総合修了試驗

学生には、学習課程を終えた後、指導担当教師が実施する総合修了試験が課せられます。その結果は、主査、副査、教務主任によって評価されます。この総合試験に合格しなかった場合は、必要な手続きを経た上で、再試験を実施することができます。

●Th.M.認定論文

  1. 論文の長さは、日本語の場合、本校規定の書式(40字×25行)に従って本文が8万字程度となっています(A4用紙に80枚前後、本文以外の目次、註、参考文献などを含めると、90枚前後となります)。
  2. 論文の書式は、論文作成規定に沿って下さい。
  3. 論文の言語は、日本語または英語を原則とします。また、論文には、日本語の2頁程度の要約および1500語程度の英文要約を付加して下さい。
  4. 論文は、口述試験予定日の少なくとも3ヶ月前までに教授会によって選ばれる2人の審査員によって審査されます。
  5. 学生は論文執筆後、その論文についての口述試験を受けます。

●評価

スクロールできます
A優秀(100~90)
B良(89~80)
C可(79~70)
D不可(69以下)

評価点は、コース学習、総合試験、修士論文のすべてにおいて平均B以上であることが求められます。すべての評価点は、日本校事務局によって保存されます。

●在籍期限

時間的制限それぞれの学生は、最初のコースを受講し始めてから5年が期限となっております。ただし、本人の申請にもとづき、最大で3年の延長が教授会によって認められる場合があります。

●学位の認定

学生がTh.M.プログラムの修業条件を満たしたことを課程主任が認めた場合、その内容を教授会で審議し、その結果を運営理事会に報告します。Th.M.学位記は、AGSTの名によって授与され、認定証には、学生が所属する研修センターの名称が明記されます。