あいさつ
アジア神学大学院日本校 校長 錦織 寛
福音主義の神学高等教育を日本で受ける機会があります。それは教会に仕える働きを持ちながら、生活のベースをかえなくとも学ぶ可能性をひらくものです。Asia Graduate School of Theology/Japan(以下AGST/J)では、1984年から関西と関東で開校されて以来、すでに30名近い方々が学位を取得されました。本校は世界福音同盟(WEA)の神学高等教育ネットワークに属するアジア神学協議会(ATA)のもとで運営される世界標準のレベルを持つものですが、これまでアジアと世界の福音主義の教会や神学校との連携と協力を得て、内外の有力な講師陣による高質な神学教育機関として用いられて参りました。私たちは、かわることのない福音によってより深く触れられる学びを通して、この激動する世界のただ中にあっていのちあふれるキリストの教会を建てあげていく働きに召されています。困難の多い時代に復活の主にお仕えする喜びのネットワークにあなたをお招きいたします。
Asia Graduate School of Theology/Japanについて
Asia Graduate School of Theology/Japan(以下AGST/J)は、1987年に日本における福音主義に立つ神学高等教育機関の相互協力によるコンソーシアムとして始まり、現在ではMaster of Theology(Th.M.)、Doctor of Ministry(D.Min.)、Doctor of Theology(Th.D.)の学位課程を置いています。
Asia Graduate School of Theology(AGST)は、1984年にアジア神学協議会(Asia Theological Association)によって認証された諸神学教育研究機関が共同して、“Train Asians in Asia”のモットーのもと、アジアからの神学者および神学教育者の頭脳流出を避け、特にアジアの文脈に配慮した高度な神学教育を行う目的で設置されたものです。現在では、日本の他にフィリピン、マレーシア・シンガポール・タイに同様なコンソーシアムを展開しています。
AGST/Jは、将来アジアにおける神学教育および神学研究を担うリーダー養成のために、より高度な神学研究および教育の機会を提供し、アジアにおける宣教を視野に入れた深遠な学術性、豊かな霊性、また、高い倫理性を涵養する教育研究課程を提供します。AGST/Jで取得した学位は、国内外の神学教育機関において高度な神学教育の認証資格として評価されるだけでなく、D.Min.の取得者は教会や神学教育機関等で活躍しています。
なお、AGST/Jにおいて提供される学位課程は、文部科学省法令に基づくものではなく、世界福音同盟(World Evangelical Alliance)の傘下にあるアジア地域の高度神学教育の認証評価を行ってきたアジア神学協議会によって認証されたものです。
Asia Theological Associationについて
ここで少し視点を広げ、アジア神学協議会(ATA)とAsia Graduate School of Theology(AGST)の発足のいきさつと、これまで40余年の発展の歩み、さらに今後の方向性について概観してみましょう。
アジア神学協議会(ATA)は1970年、シンガポールで設立されましたが、そのルーツを探れば、さらに古く1846年、ロンドンで結成された万国福音同盟、および、その精神を受け継いで、1951年にオランダのアムステルダムで結成された世界福音同盟にさかのぼることになります。
世界福音同盟は、主な3つの活動として次のような内容を挙げています。
- 神学会議の開催などにより、聖書的な立場に立つ神学研究と神学教育の推進
- 国際的なキリスト教の交流、協力のバックアップ
- 世界の迫害されているクリスチャンへの支援活動
1968年、世界福音同盟のバックアップの下に、シンガポールにおいて、第1回南太平洋宣教会議が開かれましたが、その席上、福音主義的な立場に立つ神学教育の必要性が訴えられました。この声に応えて、1970年、シンガポールではじめてのアジア神学協議会(ATA)が開かれ、総主事にボン・リン・ロー博士が任命されました。
ATAの働きは、次のように要約されます。
- 3年毎の神学会議の開催
- 神学書の出版、および定期的なニュースの発行
- 福音主義的な神学校の学的レベルを審査し、ATA認定の学位を出すことのできる資格認定校の審査
1970年、発足時には5カ国8校にすぎなかった資格認定校が、1989年には13ヶ国45校、1998年には16ヶ国100校に達しています。
また、1984年には、香港においてAsia Graduate School of Theology(AGST)が発足、これに参加した9校によって、それぞれの加盟校ではM.Div.しか出せないのが、共同プログラムの発足によって、Master of Theology(M.Th.)、Doctor of Theology(Th.D.)およびDoctor of Ministry(D.Min.)のコースによって、それぞれの学位を授与できることになりました。
AGST/Jについて
先に述べたようにAsia Graduate School of Theology/Japan(AGST/J)は1984年に開講され、その後、日本地区アジア神学協議会(ATA/J)が発足しました。AGST/Jからは2024年までにDoctor of Theology(Th.D.)が2名、Doctor of Ministry(D.Min.)が23名、Master of Theology(Th.M.)が12名誕生しました。ひとつひとつの学位認定論文は、ふさわしい学的レベルをそなえつつ、牧会現場の視点と体験に裏打ちされたもので、日本とアジアの教会の価値ある遺産となっています。
今後の活動は、アジア神学協議会の日本地区(ATA/J)として加盟校の働きがますます活発になっていくことでしょう。Asia Graduate School of Theology/Japan(AGST/J)の働きも地道に継続する必要があり、またそのニーズも大きいと思われます。
Asia Graduate School of Theology/Japan(AGST/J)
理事長 | 石崎伸二 |
校長 | 錦織 寛 |
教務主任 | 正木牧人 |
Th.D.主任教授 | 鎌野直人 |
D.Min.主任教授 | 正木牧人 |
Th.M.主任教授 | 西岡義行 |